最近あらためて読み返した一冊があります。
19世紀イギリスの哲学者、ジョン・スチュアート・ミルの『自由論』です。
第2章では「反対意見の重要性」が語られていましたが、
第3章で扱われているテーマはさらに興味深いものです。
それが、「個性の価値」。
あえて強い言葉で言えば、「変人礼賛」です。
一見すると過激にも聞こえるこの主張。
しかし現代の組織や社会を考えるうえで、非常に示唆に富んでいると感じました。

なぜ「変人」が必要なのか
ミルはこう考えます。
人間は本来、多様な能力や性格、欲求を持っている。
それにもかかわらず、社会が「普通」や「常識」に同調させすぎるとどうなるか。
誰も新しいことを試さなくなる。
その結果、社会は停滞し、やがて劣化する。
つまり、
変人とは、社会の進化を止めないための存在である。
これは単なる理想論ではなく、かなり現実的な指摘です。
組織を変えるのは「空気を読まない人」
この考えは、自分の実体験とも重なります。
海上自衛隊時代、非常に多忙な部署にいた頃のこと。
ある新任の上司が着任しました。
その人は、いわゆる「異質なタイプ」でした。
・遠慮なく物を言う
・空気より論理を優先する
・周囲に合わせない
正直、当時はかなりきつかったです。
(本気でしんどいと感じるレベルで)
しかし、しばらくして職場に戻ったとき、驚きました。
仕事の回り方、部下の動き、職場の空気。
すべてが以前とは別物になっていたのです。
あの上司の「異質さ」こそが、
組織を変える引き金だったのだと気づきました。
「良いリーダー」と「変革するリーダー」は違う
ここで一つ重要なポイントがあります。
円満で調和を重んじるリーダーは、確かに重要です。
組織の安定には欠かせません。
しかし、
組織を“進化”させるリーダーは、必ずしも心地よい存在ではない。
・違和感を与える
・摩擦を生む
・時に反発を受ける
それでもなお、現状を揺さぶることでしか、
次のステージには進めない。
この役割を担うのが、「変人」と呼ばれる存在なのだと思います。
変人が嫌われる理由
とはいえ、変人は往々にして敬遠されます。
理由はシンプルです。
「わからない」から。
・何を考えているのか読めない
・行動が予測できない
・既存のルールに従わない
人は本能的に、不確実なものを避けようとします。
そのため、変人は「目障りな存在」として扱われがちです。
VUCA時代における「変人」の価値
しかし今は、VUCAと呼ばれる不確実な時代です。
・昨日の正解が、今日には通用しない
・前例が役に立たない
・未来が読めない
こうした環境では、むしろ
「常識に従う力」よりも「常識を疑う力」が重要になります。
つまり、
空気を読まない人
既存の枠を壊す人
違和感を持ち続ける人
こうした“変人”の価値は、むしろ上がっていると言えるでしょう。
自分の中の「変人性」をどう扱うか
最後に、これは他人の話だけではありません。
自分の中にも、少なからず「変人性」はあるはずです。
・周りと違う考え
・違和感を覚えるポイント
・納得できない常識
これらを抑え込むのか、それとも活かすのか。
ミルの思想に従うならば、答えは明確です。
それを殺さず、磨くこと。
それが結果として、自分自身だけでなく、
周囲や組織にも価値をもたらす可能性があります。
まとめ
自由論が教えてくれるのは、シンプルで力強いメッセージです。
「変人は排除すべき存在ではなく、社会を前進させる原動力である」
もし今、あなたの周りに
「ちょっと合わないな」
「違和感があるな」
と感じる人がいるなら、
その人が組織を変える起爆剤になる可能性もあります。
あるいは、
あなた自身がその「変人」かもしれません。
最後にひとつ。
あなたの周りに、
「最初は違和感があったけれど、結果的に組織を変えた人」はいますか?
あるいは、
「自分こそが変人だ」と思う瞬間はありますか?
ぜひ、考えてみてください。

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